妊娠初期から出産までの流れやトラブル

胞状奇胎


胞状奇胎は妊娠初期に子宮が異常に大きくなり、つわりの症状もひどくなります。やがて、3~5ヶ月ごろ子宮いっぱいに広がった胞状奇胎は、出血を伴って流産してしまいます。

胞状奇胎の特徴

胞状奇胎の症状

胎盤をつくるはずの絨毛組織が異常に増殖して、ところどころ水ぶくれをつくって粒になり、子宮の中にいっぱいになります。まるでブドウのような形になるところから、胞状奇脂を「ブドウ子」ともいいます。妊娠の初期に、子宮が異常に大きくふくらんで、つわりの症状もひどくなります。しかも、大きくなったおなか(子宮)なのに、胎児らしいところはふれません。
また、ときどき出血を繰り返すこともあります。やがて、3~5ヶ月ごろ子宮いっぱいに広がった胞状奇胎は、出血を伴って流産してしまいます。出血は、少量の茶褐色の血で、それがだらだらとつづき、出血の中には鮭の卵のような粒がまざって流れ出てくることもあります。

胞状奇胎図解

胞状奇胎の治療

胞状奇胎の診断がついたら、子宮の中を掻爬してきれいにします。この異常妊娠でこわいのは、病的に変化した絨毛組織の一部が、少しでも残っていると、悪性の腫瘍をつくり出すことがあるところです。そこで、完全にとり除くため2~3回手術を繰り返すこともあります。胞状奇脂とわかったときは、すぐ入院して手術を受けますが、場合によってはたちの悪い腫瘍の発生を防ぐために、子宮を摘出することもあります。

胞状奇脂の後に心配なのが「絨毛上皮腫」

また、無事に手術がすんでも、しばらくは薬剤療法を行うこともあります。2~3年間は尿中のホルモンを検査して、異常をきびしく監視し、その間は完全に避妊しなければなりません。次の妊娠は主治医の許可が出てからにします。
胞状奇脂のあと心配される悪性の腫瘍は、絨毛上皮腫です。ときには正常の妊娠や流産から起こることもありますが、胞状奇胎になった人に発生する率は5~10倍も高くなっています。子宮の絨毛組織に発生して、やがて肺や肝臓、脳など全身に転移する率も高い子宮がんです。そのため胞状奇胎後は医師の指示に従い、注意深く状態を観察する必要があります。