妊娠初期から出産までの流れやトラブル

子宮外妊娠


初期に多い異常のなかで、流産に次いで多いのが子宮外妊娠です。妊娠初期に出血と腹痛の症状があれば兆候の可能性があるので疑ってみましょう。

子宮外妊娠の特徴

子宮外妊娠とは

卵子が受精して着床すれば妊娠したことになりますが、ひと口に妊娠とはいっても、それが子宮の袋にきちんと着床した正常な妊娠であるとは限りません。なかには、卵管の中に着床し、発育するものもあります。子宮外妊娠の位置は、このように卵管に着床するものが代表的な例です。まれに、頸管に着床する頸管妊娠、卵巣に着床する卵巣妊娠、腹膜に着床する腹膜妊娠などがあります。

子宮外妊娠図解

卵管妊娠

最も多くて代表的な卵管妊娠について詳しく紹介します。卵管はその言葉のとおり、卵子の通路となっている細い管で、筋肉も薄いため、そこに受精卵が着床しても、それを育てることはできません。目にみえないほど小さな胎芽のうちならまだしも、大きくなってくれば、卵管にはそれを育てるだけのスペースがありません。
その結果、大きくなるにつれて卵管が引き伸ばされて破けてしまったり、はがれて流産してしまったりします。卵管が破けたり、はがれたりすると大出血が起こって、そのためショック状態になることもあります。
おなかも大きくなっていない妊娠初期の段階で、しかも、まだ、妊娠したとは気づかないうちに、急に強い下腹痛の症状を訴えて病院の産婦人科にかつぎ込まれてくるケースは、たいていが子宮外妊娠で、卵管が破れて腹腔内に大出血していることが多いです。

子宮外妊娠の兆候と症状

卵管が破裂したときの主な症状は、突然おなかにはげしい痛みを感じ、冷や汗が出てショック状態に陥ることもあります。このようなはげしい状態はだれがみてもわかる症状です。このようなときには輸血や輸液をして、すぐに手術をする必要があります。しかし、このような状態になるまでになんらかの兆候があります。
実は卵管破裂の手前の、卵管流産の状態のときに、軽微な症状(兆候)が出ていることが非常に多くあります。異常な少量の出血と軽い腹痛が初期の症状です。ときどき下腹痛が起こり、月経時のような出血が、何日間か何週間も止まらないような場合も、子宮外妊娠の可能性があります。

超音波断層法によって早期発見が可能に

超音波断層法
妊娠がわかっていれば、異常な症状を子宮外妊娠やふつうにいわれる流産の兆候と考えることもできるでしょうが、子宮外妊娠の場合は、まだ妊娠と気づかない時期に、このような症状があらわれることも珍しくありません。
なので、症状があっても、それが子宮外妊娠のものかどうか、初期の診断は非常にむずかしくなります。しかし、最近では、超音波断層法でかなり早期に発見できるようになったので、軽微な異常症状の段階で診察を受ければ、大事にいたらずにすむようになってきました。

はげしい腹痛が起きたらすぐ病院へ

早く医師にみせないと母体が危険にさらされる卵管破裂の症状が起きたら、一刻も早く病院に行かなければなりません。破裂してからでは万が一ということにもなりかねません。タクシーが拾えなければ、救急車を呼んで、手術の設備がある病院へ行きましょう。